医療格差広げないで

タイトルが少々大袈裟だが、先日の毎日新聞に県ごとのがん診療連携拠点病院に対する国と県の機能強化事業補助金(患者や家族を支える相談支援センターなど拠点病院独自の機能に要する費用)の比較が発表され、格差の大きさに驚いた。

 独立行政法人が運営する拠点病院には国から補助金が直接交付されるが、その他の拠点病院は都道府県と国が半額ずつ負担するため、都道府県側の支給額によって総額が決まる。厚生労働省は1病院当たりの予算額の目安を示しており、08年度の1300万円から09年度は2200万円に増額した。しかし、群馬は中ほどの少し上だが、昨年並みの1300万円に据え置いたから独立行政法人の病院の支給額より、一院あたり900万円ほど少ない。

この意味を考えてみた。

県内には11のがん診療連携拠点病院があり、毎年おおよそ1万人のがん患者のうちの7千人を治療している。

群大などは訪れる患者数が多いから、他の院の平均の患者数は4〜500人であろう。そこのところで900万円の補助金が削られると患者レベルでは年間一人当たり1〜2万円もの差がつく。

そもそもこの補助金は、拠点病院が担う機能のうち、診療報酬でまかなえない事業のために06年度から交付されている。患者・家族の相談に応じる相談支援センターの運営▽がんについての診療情報を集める院内がん登録の実施▽地域の医療関係者を対象にした緩和ケア研修の開催などの予算だから、深刻である。

もう一歩踏み込むと、国立の医療機関(群大、沼田、西群馬、高崎)には満額支給され、その他の7院(前橋日赤、利根中央、富岡、藤岡、伊勢崎市民、県立がんセンター、桐生厚生)は900万円少ないのだから、医療の均てんかの趣旨にも反し、地域格差を拡大しているのである。患者はもとより、医療関係者も声を大にして是正を求めるべきだ。