「院内がん登録」で対策データ蓄積

 和歌山県内の病院で、がん患者の診療情報などを集計する「院内がん登録」が急速に進んでいる。データを蓄積してがん対策の要に活用するのが狙い。県は各病院のデータなどを集積する「地域がん登録」の運用も目指している。
 1979年以来、県内死亡者の死因1位は「がん」。2008年は全死亡者1万1679人中、3231人を占めた。75歳未満のがん死亡率(人口10万人当たり)は全国で9番目に高い。
 院内がん登録は患者情報を集計、解析することで、患者の実態を把握。より効果的な治療、予防、対策につなげることを目的にしている。
 県内では専門的ながん診療を行っている13施設のうち、12施設で実施している。昨年4月時点では、国指定のがん拠点病院6施設のみだったが、県の働き掛けで拡大した。
 県健康づくり推進課は「がんの死亡率が高い地域では、もともと罹患(りかん)数が多いのか、検診ができていないのか、治療に問題があるのか調べたい。がん対策には客観的なデータが不可欠」と話す。県は各病院や市町村の情報を集積する「地域がん登録」を来年度にも実現させたいという。
 08年度の県の5大がん検診受診率は、胃がん12・4%(全国10・2%)、肺がん20・3%(17・8%)、大腸がん16・7%(16・1%)、子宮がん29・7%(19・4%)、乳がん22・5%(14・7%)。いずれも全国平均を上回っている。
 一方、05年のがんによる死亡率は、男性の肺がんと女性の大腸がんが全国一。胃がんも男性8位、女性6位と高い。紀伊民報(2010年07月07日更新)