−子宮頸がん ワクチン助成実施18% 

 子宮頸(けい)がん予防ワクチンの接種費用について、関東一都六県の市区町村三百十九のうち、助成を実施(予定を含む)しているのは18%の五十六自治体であることが分かった。厚生労働省が来年度予算の概算要求に百五十億円の助成費を盛り込んだことにより、助成の拡大が期待されるが、自治体と厚労省の助成対象年齢が異なるなど実施に向けての混乱要因は残されたまま。助成のあり方に不安を強めている自治体が多かった。
 子宮頸がんは「唯一、予防できるがん」と呼ばれ、日本では昨年十月にワクチンが承認、十二月から販売された。これを受け、今年四月から各自治体が接種費用の助成を開始。実施の五十六団体(八月末現在)は都県別で、群馬と栃木、茨城が各十二で、東京、千葉の各七、埼玉四、神奈川二。助成は六割近くが全額だが、残りは半額または一部助成とまちまちだ。
 対象は全中学生が最多で、小学五、六年を含むところも目立つ。中には「中学一年生だけ」「二十歳以上」という自治体もあった。
 半年で三回、計約五万円の高負担となるため、大半の自治体はいまだ実施を見送っているが、厚労省が来年度予算の概算要求で接種の助成費を盛り込み、実施自治体に三分の一を助成することを決めた。対象は十歳から十九歳としている。
 これに対し、七月から中学一年の女子生徒を対象に全額助成をスタートした東京都杉並区の担当者は「国の対象が十九歳までというのは幅広すぎる。予算上厳しい」と話す。
 「国の方針が決まらないと動きだせない」と実施を見送っているさいたま市は「対象は国に合わせて検討するが、残り三分の二をすべて市が負担するのはどうか。自己負担も出てくるかもしれない」(疾病予防課)。
 実施していない自治体からは「国の方向に従わないわけにはいかないが、助成の仕方が中途半端だ」と批判の声も上がっている。(編集委員・長竹孝夫)(東京新聞)2010年9月4日 07時06分