−群馬県ががん対策へ予算明記

 県議会が早期制定を目指している「県がん対策推進条例」の骨子が2日までにまとまった。群馬らしさを発揮するため、重粒子線治療の推進や医療機器の更新費用を補助する基金の創設も盛り込む方針。県が講じるべき施策と必要な財政措置についても明記した。「県がん対策推進計画」の内容と重複するが、条例化により県民一丸となってがん対策に取り組む意識を高め、県の事業展開を後押していく。
 骨子は県議会がん対策特別委員会がまとめた。島根、高知など先進県の条例を参考に内容を検討。医療関係団体や経済団体などの意見を聴いて条例案を固め、11月定例会に議員提案する。
 県の講じる施策として、予防と早期発見の推進や、医療水準の向上、緩和ケアの充実などを列挙。県計画では「〜する必要がある」としているが、県の主体性を強調するため「県は講じるものとする」と踏み込んだ表現にした。実効性のある施策を行うには財源的な裏付けが必要とし「県は必要な財政上の措置を講じる」との条項も盛り込んだ。
 本県の独自性を出すため、群馬大が本年度始めた重粒子線治療の推進に加え、医療機関が高額な機器を更新する際に補助金を支出する基金の創設や、「県民ががんに向き合う日」の制定を盛り込むことを今後検討する。
 同特別委の原富夫委員長は「効果的な対策を講じてもらうための激励。財政措置に触れることで県も動きやすくなるはず」と条例の意義を説明する。がん対策を担当する県保健予防課は「県のやるべきことが明確になり、新規事業の追い風になる」と受け止める。
 県議会は条例を早期に制定するために議員提案する方針を決め、5月定例会で同特別委を設置した。同様の条例がある10県のうち9県は議員提案で制定されたという。(上毛新聞2010年11月3日)
◎この記事には必ずしも反映されていないが、群馬県の「がん患者団体連絡協議会(本田摂子会長)」は、平成22年10月29日(金)に県議会議長(関根くにお)と面談し「要望書」を提出。要望事項を、がん条例に盛りこむよう要請した。