−浜松・松田病院「高い成功率」

 大腸の粘膜表面にできた悪性腫瘍(しゅよう)などを削り取る「内視鏡的大腸粘膜下層はく離術=大腸ESD」で、浜松市西区の松田病院(松田保秀院長)が、厚生労働省から先進医療機関として県内で初めて承認された。高い成功率や多くの症例数が評価された。
 大腸ESDは、腫瘍ができた粘膜の下(粘膜下層)に生理食塩水などを注入して病変部を浮かせ、針状の電気ナイフで病変周囲の粘膜を全周にわたって切開後、腫瘍を表層部からはがし取る。
 従来の内視鏡術では、腫瘍が大きいとバラバラにしないと切除できなかったが、ESDでは大きさに関係なく病変を一塊にして切除でき、早期大腸がんなどの根治性が高いと期待されている。
 松田病院では、2004年から内視鏡センター長の浅野道雄医師(46)が取り組みはじめた。これまでの症例数は270回余に上り、90%以上で完全に切除できた。大腸は壁が薄く曲がりくねっているため、高度な技術が必要とされるが、安定した治療成績から8月2日付で承認された。大腸ESDでの先進医療機関認定は全国で31カ所目。
 浅野医師は「腫瘍を完全に切り取れるだけでなく、開腹手術による腸切除を回避できるものも多い」と利点を強調。大腸がんは増加傾向にあり、いずれ罹患(りかん)の1位になるといわれるが「早期がんならほぼ完治できる」と話している。2010年8月21日 THUNITHI Web