−国立がん研究センター

 独立行政法人国立がん研究センター(嘉山孝正理事長)がん対策情報センターは9月6日、国民に対して適切な情報や治療体制を提供していくことを目的に外部有識者と意見交換を行う「がん対策情報センター外部委員意見交換会」を初めて開き、がん対策情報センターの運営について議論した。嘉山理事長は冒頭のあいさつで、「国民のためとなる運営を進めていきたい。委員の皆さまにもご協力していただきたい」と述べた。
 国立がん研究センターは今年4月から独立行政法人に移行。がん対策情報センター外部委員意見交換会を初めて行った。委員は、嘉山理事長を会長とし、日本医師会の保坂シゲリ常任理事、栃木県立がんセンターの児玉哲郎所長など医療関係者や、患者団体のがんと共に生きる会の海辺陽子副理事長ら外部委員10人、情報センター職員4人の計15人で構成。
 意見交換会では、▽「患者必携」をはじめとする情報提供▽がん登録▽診療支援▽研修支援―など、項目別に進ちょく状況や課題、今後の計画を情報センターが報告した。
 患者にとって必要ながんの治療法や費用などの情報をまとめ、今年6月から情報センターのホームページ上で公開している冊子「患者必携」について埴岡健一委員(日本医療政策機構理事)は、「何を目的としているのか。(患者必携の)位置付けをはっきりとさせるべきではないか」と指摘。海辺委員は「患者必携を配布することによって出た意見をどのように吸い上げるかが重要。頻繁に改定して中身を整理していくべき」と主張した。
 これに対し、嘉山理事長は「現場で(患者が)どういった問題を抱えているのか分からないことも多い。今後サーベイして、対策用の(別の)冊子を作っていきたい」と述べた。
 また、がん検診について寺田真由美委員(ケイマックス代表)は、「今は乳がん、子宮頸がんなど分野ごとの検診の進め方をしている。分野をまたいで総合的な形の検診を進めていくことが必要ではないか」と述べた。
 嘉山理事長は、「今回(委員から)出た意見を踏まえ、患者の利益となるような運営をしていきたい」と述べた。( 2010年09月06日 21:35 キャリアブレイン )