−院内がん登録のデータ公表へ

 国立がん研究センター都道府県がん診療連携拠点病院でつくる連絡協議会(議長=嘉山孝正・国立がん研究センター理事長)は10月8日、各拠点病院で行われている院内がん登録の2008年集計について、施設別にデータを公表する方針を決めた。07年集計は都道府県別のみで、施設ごとの治療情報が明らかになるのは初めて。今年12月上旬、地域がん診療連携拠点病院を含め、改めて公表の可否を確認した上で、来年1月、報告書にまとめる予定だ。
 同センターが全国の拠点病院(現在377施設)に対して行った調査では、08年集計を施設別に公表することについて、回答した355施設のうち280施設(78.9%)が「公表してよい」と答えた。「公表すべきでない」は15施設(4.2%)にとどまり、「条件付きで公表」が60施設(16.9%)だった。
 調査結果やこの日の協議では、施設によって精度の異なるデータを示すことに、「数が独り歩きし、病院のランキングにつながる恐れがある」「社会に無用の誤解を与える」などと懸念する声がある一方で、「公表を前提とすることで精度を高めたい」「国費が投入されている以上、公開するのが当然だ」との意見も出された。このため、短絡的な病院ランキングなどに誘導しないように十分な注釈を付けた上で、施設別の公表を原則とすることを了承した。
【08年登録数は9.9万例の増】
 この日は、08年集計の概数速報版も報告された。施設別には踏み込まず、都道府県別やがんの部位、ステージ、治療パターン別など07年と同様の集計を行った。
 報告によると、08年の登録数は計42万6783例で、前年比9万8894例の増となった。地域がん登録による推計IM比(05年)などを基にした院内がん登録の患者把握率は、全国平均で58.1%と推計された。都道府県別に見ると、島根の93.9%が最も高く、次いで福井90.6%、富山89.0%と続いた。最低は鹿児島の33.8%で、大阪35.4%、滋賀41.4%も低かった。( 2010年10月08日 20:13 キャリアブレイン )